« アイルランド 第五回 | メイン | アメリカ・シアトル第二回 »

2006年06月05日

アメリカ・シアトル第一回

世界牡蠣事情 アメリカ・シアトル第一回
世界牡蠣研究家 山本紀久雄


海辺の街シアトル

ここアメリカ・シアトルの五月下旬の朝は気温13度。最高気温が20度。日中は晴れと曇りと雨がミックスする。陽が差しているのに雨が降り、空模様の変化は激しい。
シアトルはアップダウンが多く、歩くと結構大変で、アメリカらしい規模の大きい建築物が並び、海岸にイチローが所属するマリナーズの球場セーフコフィールドと、巨大なアメリカンフットボール場が並んでいるなど、日本の都市とは景観が大きく異なっている。

街角のショップウインドウにイチローのポスターが飾ってある朝の散歩、途中の交差点で背広にネクタイ、帽子を被った年配紳士が「アーユー チャイニーズ」と聞いてくる。「ノー ジャパニーズ」に、すぐさま「オハヨウゴザイマス」と切り替えてくる。交差点内で行き交う背の高い中年女性、黙って通り過ぎようとすると「ハーイ」と笑顔で声掛けしてくる。歩道ではシアトルマリナーズの野球帽を被った、いかにもスポーツマンらしい引き締まった体躯の中年男性、こちらと眼を合わすとニコッと「ハーイ」。歩いていて声掛けしてくるのは、どうもこざっぱりした服装の人で、十人に一人という感じで白人だ。声掛けしない目つきが厳しいのは黒人か移民系で、乞食も声掛けし手を差し出してくるし、ドリンカーみたいな人種も時折いるが、街全体の雰囲気は歩きやすく穏やかだ。

シアトルの人々は牡蠣が好きか

牡蠣について一般のアメリカ人に今回聞いてみた。聞く人の対象選定は難しい。なぜなら牡蠣は多くの人は食べないものだから。欧米ではどちらかといえば高級品に属する食べ物。ということはそれなりの生活レベルの人に聞かないといけないだろう。ということで今回はシアトル市内の会計士事務所にお伺いし、そこの会計士の女性四名からお話を聞けることになった。
こちらの会計士は日本と異なっている。日本のように監査を中心にしているのではなく、各企業の決算書や税務申告書を作成している。どちらかといえば日本の税理士業務にちかいと考えた方がよい。それぞれが個室を持って仕事しているので、四人の方の部屋へそれぞれ移動し、お聞きした結果が次のとおりである。会計士の収入階層は中の上である。

最初のJALEANEさん32歳女性
牡蠣は一回しか食べたことがないという。サーモンは食べるし白身の魚も食べるが。牡蠣は高いレストランにしかないし、友達と行くようなレストランには置いていない。友達で牡蠣を食べに行ったということなぞは聞いたことがない。高いものを食べるということはステーキかカニとロブスターだ。魚そのものは好きだが。牡蠣は未知の食べ物だ。全く食べたいと思わない。タコと同じだ。日本人の友人とタコを始めて食べたがそれまでは知らなかった。パイク・プレイス・マーケット(生鮮市場)に行けば牡蠣があることは知っているが、駐車場が混み合うので行かない。牡蠣を食べるか食べないかは家族の文化によるだろう。夫の家系はベジタリアンだった。自分の家系はアイリッシュだ。ポテトは食べるが牡蠣は食べない。BSEの牛肉も食べない。生産地を調べてから食べる。肉にFDAのシールがあるものしか買わない。レストランで食べ残ったものを持ち帰る習慣があるが、ステーキの持ち帰りだけは店で許可しない。眼の前で切った肉は買わないことにしている。どこの肉か分からず危険だから。鮭でも自然のものがよい。養殖よりは。オーガニック優先だ。高いが仕方ない。倍近い価格だ。出来るだけ自然なものを食べたい。

次はDEBRAさん46歳女性。
牡蠣は食べる。感謝祭サンクスギブンズデイ11月の第4日曜日が祭日。この日はターキーに剥き身の牡蠣を入れて、その牡蠣を取り出してオーブンで焼く。セロリやたまねぎやパンを混ぜる。レストランでも食べるが生では食べない。八歳のとき叔父が牡蠣養殖していて生で食べるよう推奨されたが、匂いがすごくて、生で食べる気がしなくなった。生卵を食べないのと同じだ。

名前を聞き忘れた45歳の方。
牡蠣は食べない。叔父がオイスターバーを持っていて、バーベキューのときに牡蠣100個焼いたが、味が強すぎて匂いが強すぎてだめになった。潮干狩りには行ってあさりは食べるが。魚は白身。ヒラメとかソウルフイッシュとか。テラピア、サーモン。自宅での料理の配分は肉が40%、鶏が30%、魚が30%。肉は牛肉だ。BSEは全く気にしていない。

名前を聞き忘れたもう一人40歳女性。
牡蠣は大好きだ。シアトル生まれ。レストランに行って牡蠣があれば必ず食べる。20歳前半まで食べなかったが食べてみたらおいしいので今は好き。牡蠣は赤ワインである。魚介類には白ワインということは知っているが、自分は赤ワインだ。ブロン牡蠣のことは知らない。子供のときは牡蠣を燻製にしたものをよく食べた。食べ方はクリームチーズとクラッカーと一緒に。ターキーに牡蠣を入れるのは一般的であるが自分はしない。牡蠣が食べられるときはどこでも食べる。大好きだから。

いかがでしょうか。これが海に近く、アメリカ社会の中では魚介類が多く出回っているシアトルでの回答です。人によって随分違っていると思いませんか。これが欧米人の個性というものでしょう。日本では牡蠣が好きか嫌いかで聞くと、半分くらいの人は牡蠣フライが好きだから、牡蠣は食べると言うでしょう。生では食べない人が多いですが、フライや鍋もので一般的に食べると思いますし、お聞きするとある程度平均的な回答が多いのですが、アメリカではこのような状況でした。世界の人々はそれぞれ異なることを、改めて認識したシアトルでした。


投稿者 kenkyuu : 2006年06月05日 10:02