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2006年06月18日

アメリカ・シアトル第二回

世界牡蠣事情 アメリカ・シアトル第二回
世界牡蠣研究家 山本紀久雄


生鮮市場

シアトルには公共の生鮮市場はないが、海辺に近いところにパイク・プレイス・マーケットPIKE PLACE MARKETがあって、ネオンサインの看板には「PUBLIC MARKET CENTER」とあるから、ここが公共市場なのかもしれない。
ここは1907年に漁師が魚を売る場所として始まったところだ。アメリカで一番古いという。夏の観光シーズンには一日四万人も訪れる。カニやサーモンなどと並んで牡蠣もある。牡蠣は氷の中に埋まっているものと、箱に入って並んでいるものとがある。

店からは威勢のいい売り手の呼び声がかかる。こでは売り手と買い手のやり取りが見ものだ。買い手との話がまとまると、売り手はカニやサーモンをカウンターに放り投げる。これが見ものでパフォーマンスとして人気になっている。これを見るために、ここに来る観光客も多い。

ブッシュはバカだ

魚売り場がある一階の下の階、ここにもみやげ物売り場がたくさん並んでいる。食べ物屋も多いし、装身具や玩具売り場もある。「ブッシュはバカだ」と書いた等身大のパネルも売っている。ここは民主党の地盤。前回の大統領選でブッシュはこのワシントン州では負けたことが、このパネルで証明されている。

スターバックス

パイク・プレイス・マーケットの真向かいの通り、通りといっても土産物屋とか食べ物屋が軒を連ねている、アーケード街の一軒が、世界的に成功したスターバックスの一号店である。観光客が大勢店の前で写真撮っている。スターバックスは世界で人気のコーヒーショップだ。カップを手に持ち歩いている人が多いのも、これも発祥地だからか。また、シアトルには飛行機のボーイング本社があり、マイクロソフト社のビルゲイツが住んでいる。ボーイングの工場がどこかに移転してしまったらしいが本社は残っていて、ANAが新型機を50機発注したときはすごかった。一週間くらい新聞・テレビでこの話題だけだった。シアトルは定年後住みたい街の世界ベストワンらしい。頷ける街である。

オイスターバー

シアトルは海の街。さぞかし魚介類が豊富だろうと思っていたが、一般人へのインタビューでも分かるとおり、魚を食べる人は限られている。更にまた、牡蠣が好きな人は少ない。だが、その限定された人たちが行くオイスターバーは、どのようなところなのか。シアトル随一のオイスターバーであるTHE OCEANAIREに訪問した。ここでチーフシェフのKevin Davis氏から説明受ける。

Kevin Davis氏は、シアトルの前は香港のシェラントンホテルでシェフしていた。そこでは20種類の牡蠣があったが、牡蠣をあけて水で洗ってから客に出していて、これでは海の味が消えていたと、思い出すような語り口。この方法はシドニーと同じだ。このレストランで五年いる。オーストラリア、フランス、カナダを廻ってきた。ルイジアナ出身である。

仕入れは、仲介業者がいて、各養殖場から仕入れてくれる。このルートが70%で一週間に二回仕入れる。養殖場から直接仕入れるのは30%。今日の18時に注文すると翌日の10時に入ってくる。24時間以内に海から採ったものという基準を設けている。

日本の牡蠣を最初に持ってきたヤマシロさんを知っているかと聞かれる。今は85歳から90歳くらいで元気だという。写真を見せようかといっていたが、このヤマシロさんは知らない。このHP読者でヤマシロさんを知っている人がいたら投稿してほしい。

店内の席数は250席。客は地元と観光客が半分ずつ。近くにコンベンションセンターがあるので、そこからの客が多い。

今日の牡蠣の種類は12種類。14種類のときもある。メニューを見るとブロンはない。このちかく以外の産地はニュージランド、東海岸、アラスカからも入ってくる。東海岸は海の味が強く、西海岸は味が微妙で込み入っていて繊細だという。気候条件や川の近くか、牡蠣の種類で味が変るという。そのとおりである。なお、熊本牡蠣はアメリカで有名すぎるので、扱わない方針だという。珍しい方針だと思う。
牡蠣料理はオイスターロックフェラーだけ。五個で12.95ドル。

牡蠣で最も高いのはKUSSHI CORTES ISLAND で一個2.5ドル。この牡蠣はNYの有名なシェフでトーマス・ケラットが本の中で紹介し有名になった。フレンチランドリーというレストランを経営している。牡蠣の育て方に秘密があるらしい。どうも籠に入れて時折ぐるぐる回す方式になっていて、そうして育てるとふっくらとした殻となり、殻の深みが厚みとなって小ぶりだが豊かな牡蠣が出来る。牡蠣カウンターに行き味見させてくれる。食べてみてビックリした。全く他の牡蠣と違う。品がよい。上品さで過去に食べたどの牡蠣より優れていると感じる。これを食べて他の牡蠣を食べるとすべて味にコクがない。それだけ味が抜群である。レストランで食べた中で一番美味い。さすがに高いだけのことはある。

Kevin Davis氏の接客工夫は、客に牡蠣を出すとき、オーダー順に出して、一つずつ解説をすることにしている。そうすると感心して納得してくれる。そのようなアドバイスが大事だ。牡蠣に合うワインはシャブリ、ムスカデ、ロワールのバーカンデーだという。地元ワシントン州のものはあまり奨めないのが引っ掛かる。地元ではここのワインは素晴らしいと宣伝しているのに。しかし、世界的にはワシントン州のワインは無名なので、Kevin Davis氏があげたワインが牡蠣に合うことは、牡蠣通なら誰でも知っていることだし、いろいろ飲んで味わってみて、そり通りと思っているので大きく頷く。ただし、地元のワインは赤が美味いと、申しわけなさそうに追加するところが地元で商売している弱みか。

牡蠣は客が座るカウンターテーブル、その前にある氷の中に入っていて、そこから注文によって探し出し、その場で開けてくれる。これは始めてみたが合理的でショー的雰囲気がある。牡蠣は小ぶりのものしか扱っていない。大きいものは上品さが欠けるというのが主張。そうかもしれない。人によって好みが異なるが、高級レストランではあまり大きな牡蠣を扱っていないのは、世界的事実であるし、ここシアトルのTHE OCEANAIREの品のよいムードには小さい牡蠣が似合っている。フランスともNYとも異なる味わいのあるなかなかのオイスターバーであった。

投稿者 kenkyuu : 2006年06月18日 09:44