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2006年09月01日

牡蠣養殖場

カナダ・バンクーバー第三回
世界牡蠣研究家 山本紀久雄

牡蠣養殖場

牡蠣養殖場はどこに行っても不便な場所にある。当たり前だ。人が多勢住んでいるところは自然が侵されやすいのだから、牡蠣のような生鮮生き物は、自然のままのところで育ってほしいから遠くても仕方ない。

牡蠣養殖場は遠い

バンクーバーも遠いところにある。市内からタクシーで30分のホースシュー・ベイに行き、そこからフェリーでバンクーバー島に渡らねばならない。大きな荷物を持ってフェリー乗り場でバンクーバー島のナナイモまでの切符を買う。フェリーは二時間ごとに出ている。大きな船でナナイモまで一時間半で着く。
ナナイモから牡蠣養殖場のあるところ、それはファニーベイFANY BAYだが、そこに行くにはバスで二時間かかる。車でもその程度かかる。だから、バンクーバーの市内から待ち合わせ時間を入れて、約半日は必要とする。牡蠣養殖場の視察は朝でないと潮の関係で難しい。ということは養殖場の近くに前泊しないといけないことになる。ところが養殖場の近くには大抵ホテルはない。そこで離れた町に泊まることになる。そのホテルを朝早く出発する。牡蠣研究者は早起きでないと難しい。これが研究するための最低条件だ。

ファニーベイ

さて、養殖場に向かった。宿泊したコートニーという町から88KM離れている。タクシー代が75ドルもかかる。養殖場についてみると、事務所の前に牡蠣殻が積んである。白くなっていて鳥がついばんでいる。オーナー社長のGLEN HADDEN氏に会う。腹の出たはげた人物。頭は剃っている。脳細胞がしっかりした精悍な感じ。案内された事務所の二階に上がったところが社長室兼応接室。コーヒーはでない。ここがアメリカと異なる。サービス精神が少ない。洗練されていない。
二階に上がったフロアから、下の作業場が見える。何をしているか。レストランの要請で牡蠣剥きし、海水で洗って牡蠣殻に入れている。片方の牡蠣殻だけにしている。これをハーフシェルHALF SHELLという。レストランが剥く手間を省いている。一部の店に提供しているらしい。
先日は日本からマニラ・クラムMANILA CLAMSについて調べに来たという。マニラから来たからこの名前がついているらしい。このマニラ・クラムは北米・カナダで人気であるらしい。さて、ここでの牡蠣の歴史は1920年代、この地に日本の材木業を含むいくつかの日本企業があって、そこの日本人が牡蠣をアメリカから持ってきた。それが自然に海で育ちはじめた。その牡蠣を採り過ぎてなくなってきたので、1950年代から稚貝を日本から輸入したのだ。

養殖法の進化で企業が成長した

FANNY BAYの名前は、オイスターで世界的に有名だと自慢する。味はきゅうりに似ているが、これは海水の中にあるプランクトンのよるという。
さて、GLEN HADDEN氏は1984年から経営し始めた。12歳から漁師だった。このところにあった会社を買った。買ったときに何もなかったので、五年掛かって準備し、1989年から営業開始した。今ではこのあたりで一番の会社だ。最初は奥さんと社員三人。一週間で3000個採取する規模だった。今は定期社員が80人。一日35,000ポンド生産。これを363日営業している。1270万ポンド576万キロ。5762トン。このうち牡蠣は一日28,000ポンド。成功の基は稚貝から育てる方式にしたことだ。それまでは自然の海の牡蠣を採取していた。
稚貝から育てる方式の説明に入る。壁のパネル写真にしたがって説明していく。何人にもしているのだろう。慣れている。まず、アメリカから産卵したばかりの卵ベイビーを買ってくる。写真は1000倍に拡大したもの。400万個でゴルフボール一個分。これを20度の海水の容器に牡蠣殻いれて静かに14日間で育てる。しかし、これは海が静かでなくなったのでやめた。
そこで容器に牡蠣殻を入れ海水を入れる仕組みにした。その海水を20度にする。エアーも入れて流動化する。そこに卵ベイビーを400万個入れる。五日間。自然に温度を下げていく。牡蠣殻一枚に八個つく。それを海岸に並べ太陽に当てる。地面に直接あてないで筏的なゲタを履かせる。潮が引いたときにトランクで作業する。潮は16フィート4.8Mである。一年間で稚貝になる。これが今までの方法だった。
今は違う。微細な牡蠣の卵と同じ位の牡蠣殻を砕いて、タンクに入れかき混ぜる。一個に一個つくようにする。マイクロスコープで見ないと分からないような大きさ。ボールペンの押す部分の大きさになったときに、12個並んでいる屋内の容器に入れる。一つに50万個入る。海水を流してプランクトンを入れる。一日中食べられるようにする。前に方法では一年間で1インチ、2.5センチしかならなかったが、この方法は12週で1インチとなる。これを120個ずつ箱に入れて15段にし、筏のうえに置く。こうすると八ヶ月で生育する。以前は2.5年掛かった。売れる牡蠣になるのは新方式で14ヶ月。前の方式では五インチ12センチにするのに五年間。この方法で一気に生産性が上がって成長したのだ。

海がよいのは山と太陽と雨

ここの海は海水がよいらしい。その要因は山と太陽と雨だ。川も一杯ある。出荷先は八カ国。アメリカ、ヨーロッパ、アジアだ。シンガポール、マレーシア、中国、台湾。NYセントラルオイスターバーは15年間取引がある。生牡蠣を船で出荷する場合は冷凍、エアーの場合はフレッシュで。現在牡蠣だけでなくいろいろあって40タイプの商品がある。
牡蠣の洗浄しているところで牡蠣を剥いて食べてみる。味はよい。どこでもフレッシュは美味い。巨大な牡蠣から熊本牡蠣に近い小さいものまである。
ところで、剥き身も扱っている。その牡蠣剥きはすべて手で行う。それを剥き身の容器に入れる。それは女性。剥くのは一人で一日3000個くらい。採用して三週間で剥き身に合うかどうかの適性が分かる。剥く量によって給料が変る。40ガロン(180L)から20ガロン(75L)一人当たり剥く。担当は15人いる。力は必要ない。中国人の女性が向いている。女性は半分。
全体の構成はマニラ・クラムが30%、牡蠣剥き身が30%、生牡蠣が35%、その他の5%はマッスル、スカルプなどの新しい貝。また、全生産量の40%は他の養殖場から買っている。カナダブリティッシュ・コロンビア州BC内の養殖場から。別のところの牡蠣でもFANNY BAY牡蠣として出荷している。カナダでは別に問題ないという。世界の各地で制限条件にいろいろ変化がある。それが世界の実態だと改めて認識する。

投稿者 kenkyuu : 2006年09月01日 17:12

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