牡蠣とは?

牡蠣の学名、食料としての牡蠣

カキ類は動物分類学上、軟体動物・二枚貝(斧足)綱(Bivalvia)イタボカキ科(Ostreidae)に属します。 日本では、主にマガキが養殖され、夏が旬の岩ガキ、有明海の一部に生息するスミノエガキなども養殖されています。

カキの名称は、岩に付着している「カキ」を掻いで採集するところから「掻き貝」と言われ、そこから名づけられたという説と、殻をかき砕いてとることから「カキ」になったという説などがありますが、いずれも牡蠣をとる、からを剝くという動作が語源です。

牡蠣は本来、螺の一字で「カキ」を意味するが、中国では牡蠣がすべて「雄」と考えられていた為「牡」の字が付けられました。また、「かき」とひらがなで書くと果物の柿と間違いやすいためとも言われています。

参照:日本水産資源保全協会 語源由来辞典

広島・瀬戸内海での養殖割合

令和3年の広島県全体の生産量は16,786t(むき身)で、日本全体の61.0%を占めています。
瀬戸内海全体の生産量では、約83%になっています。

参照:広島市水産振興センター

食料だけではない、カキ殻の使い道

カキ殻のでき方、成分、構造

カキ殻は、軟体動物の貝類と同様に二酸化炭素が水に溶けて重炭酸イオンとなり、カルシウムイオンと結合して炭酸カルシウムになり固体として沈殿する反応(石灰化反応)を使い殻を作っています。

カキ殻はチョーク構造になっていて、蜂の巣のように殻の中に空洞な部分があります。
その為、カキ殻は壊れやすく、軽いため泥に浮くことができるのです。

参照:OPRI海洋政策研究所・鎮西清高

カキ殻肥料誕生秘話

カキ殻は実は厄介者だった

日本全国で養殖される牡蠣は年間約16万トンといわれ、その約60%が広島で養殖され、栄養豊富な食料として、また、冬の風物詩として親しまれています。
牡蠣は水揚げされた後、身と殻に分けられ、身は食用に用いられますが、殻は以前は不要な物として溜まっていく一方でした。
溢れかえったカキ殻は場合によっては海洋投棄されるなど、広島県では行政も含めてカキ殻は“厄介者”としてその取り扱いに困り果てていました。
そういう状況のなか、牡蠣の(身の)仲買業をしていた弊社創業者の卜部登に県の保健所の方から相談がきました。「牡蠣の殻を何とかできんじゃろうか?」
卜部登はずいぶん悩んだ末、「ワシが何とかせんといけん!」と牡蠣の殻を扱うことを決意しました。
卜部登は牡蠣の殻を養鶏の飼料として加工・販売を始めました。庭先養鶏があたり前の当時、カキ殻飼料は鶏の嗜好性に優れ卵殻によいということで販売は順調でしたが、今度はカキ殻を粉砕する時にでる粉末の扱いに困り果てていました。
卜部登はカキ殻粉末を肥料用として販売を考えましたが、当時農家は真っ白な生石灰・消石灰を使っており、色がオフホワイトで厄介者というイメージのカキ殻の粉末はなかなか農家(特に地元)に受け入れてもらえませんでした。

カキ殻肥料の生みの親 故 橋本武先生

橋本武先生は農学博士であり、近畿大学、広島県立西条農業短期大学(現 県立広島大学)名誉教授として教鞭をとる傍ら、酸性土壌と作物生育の関係を長年研究して来られました。
この研究の中で、カキ殻は酸性土壌を中和する土壌改良材としても有効ではないかと考え、カキ殻を用いた栽培試験を開始されました。
橋本先生は長い年月をかけて根箱試験を繰り返し行い、カキ殻は従来使われてきた生石灰・消石灰などと同じく効果の高い肥料であることを学問的に確立(立証)されました。つまり、今まで厄介者であったカキ殻が肥料として実はとても有効なものであると証明されたのです。
長年にわたるこれらの橋本先生の功績は、瑞宝章【平成3年4月勲3等】(※)として国からも表彰されています。

※瑞宝章 … 国及び地方公共団体の公務、または公共的な業務に長年にわたり従事して功労を積み重ね、成績を挙げた人を表彰する場合に男女に共通して授与される勲章です。
瑞宝章は、明治21年に制定されました。

厄介者から資源へ

広島県から相談を受け、カキ殻販売を開始した創業者の卜部登は、生産過程で発生するカキ殻粉末の利用に悩んでいました。
すでにカキ殻飼料と一緒にカキ殻粉末を肥料として販売していた登ですが、カキ殻は肥料として農家の方に認めてもらえず困り果てていました。
カキ殻を肥料として研究されていた橋本先生は、当時卜部産業の社長であった登とともに、「農家の方にはカキ殻は有効な肥料だから何とかして使ってもらいたい!」、「漁師の方には安心して牡蠣養殖を続けてもらいたい!」という使命感を持って世に広めていたところ、たくさんのファンが現れ、その方たちの声から有機石灰という名前が生まれました。
山から切り出す石灰と区別するために命名された有機石灰という名前ですが、現在では“有機石灰といえばカキ殻肥料”といわれるまでカキ殻肥料は広く認知されるに至りました。
これは、海のミネラル(微量要素)を豊富に含むカキ殻肥料が作物の生育を良くすると学術的に裏付けた橋本先生の功績と、カキ殻を肥料として使用することで牡蠣養殖業者だけでなく農家の方も幸せにしたいという卜部登の信念が成し遂げたものです。
これまで厄介者として扱われてきたカキ殻は、現在では農業に欠かせない資材として、さらに環境にも優しい循環型資材としてその役割を果たし続けています。